雪解け

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「雪」   高田敏子

樹の根元のまわりから
雪はとけてゆく
樹の肌にそって まるく
くぼみを作ってゆく
その静かな環(わ)のかたちを見るのが
好きだ

雪はうっとりと
とけてゆくのだろう
とけて雪は
地の中にしみ入り
樹の根に吸いあげられて
樹液に変わるのだ

枝々の先に いっせいに
噴き出す芽!

うっとりと とけてゆく
雪の心が
あの環のくぼみから
伝わってくる






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晴れ渡った午後、散歩に出る。

風はまだ冷たいけれど。
壁のように辺りを取り囲んでいた雪はぐんと沈んで
広々と景色が開けていく、ああ、いいなあ!

雪解け水の轟き。
遠くの森から絶え間なく響く
キツツキのコツコツコツコツ……

日差しにぬくもった道端には
後ずさりする雪の縁から
明るい緑色がいくつも覗いている。
今晩の天ぷらの分をいただいて
浅い春の楽しみです。




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# by kotoko_s | 2018-03-25 16:26 | ある日 | Comments(8)

100円

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来月、久しぶりにダンボール織機を使ったワークショップをする。
1時間半程度で、コースターを1枚か2枚作る。
道具や材料を準備して、
サンプルも手持ちのものに少し足しておくことにした。
本当は裂き織をしたいのだが
当日布を裂くところから始める時間はないし
たくさん用意していくのは大変なので、一部は市販の糸を使うことにした。

手芸店と、100円ショップに行く。
100円ショップには意外と面白い素材のものがあって
以前、小学生と一緒にやったときは、カラフルな糸が大人気だった。
安価だからちょっと試してみるのにも都合がいい。

しかし。
指をさすりながら黙々と作り貯めてきたジーンズのテープもカットソーの紐も
100円均一で並んでいるというのがなんとも複雑な気分なのである。
そして今日はついに(というほどのものでもないが)
「かんたん手織りルーム」なるものを見つけてしまった。

スーパーからダンボール箱をせっせと運んで切ったり貼ったりしている間に
同じ仕組みのもっと丈夫できれいなものが
しかも必要な小道具まで付いて100円である。

こういうものは、私が子どもの頃にもすでにあった。
でも、さすがに100円では買えなかったと思う。
なんだかなあ、という気分のまま、1枚買った。
今後はダンボールを切ることもないな。
小さなものならこれで十分楽しめるものね。

なんか、つまらん。


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サンプルは自作のダンボールで織る。

ダンボールと、割箸があれば。


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これはダンボールの両面を使って袋状に織っているところ。

いまのところ、こういうものが織れる100円織機は、まだ出ていないからね115.png

それにしても100円ショップ。ないものはない、というぐらいの品揃え。
どうやったらあれもこれも100円で売れるんだろう。なんだか、怖い。




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# by kotoko_s | 2018-03-22 22:46 | 作る | Comments(11)

この冬の手仕事

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久しぶりにここに来ました。
この冬の手仕事を記録しておきます。
こういうとき、わが家は撮影にぴったりの場所がなくて困ります。
おまけに室内では光が足りず色がぼんやりして残念です。

豪雪地の当地でも、今冬はことのほか厳しい日々でした。
暗く長い長い時間、なにか手遊びせずにどうして送れましょう。

裂き織の敷物は115×125センチ。
織りの部屋で使いたくて作りました。
ここ数年は古布のパッチワークをしていたので
裂き織は久しぶりです。
義母から譲り受けた布地も残りわずかとなりました。
色々な布を少しずつ織り込んだのはそんな事情もありましたが
なにより、楽しくにぎやかなものが見たかったのです。


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裂き織でコースターも織りました。

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実家方面でお世話になった場所で
手仕事を展示していただけることになりました。
コースターは販売用です。
小さな喫茶店の一角ですが、私の作品はどちらかというと「濃い」ので
ほっとひと息つく場所に、どうなんでしょう、と少々心配ですが。

夫が作ったマタタビ蔓&山ブドウ蔓のストラップも
一緒に送り出します。
奥会津のささやかな手仕事を見てもらえたら嬉しいです。



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夫が除雪機で雪の壁を飛ばしてくれて
裏道も開通しました。
数か月ぶりに車が入ります。
92歳になった義母が出かけるときは、ソリで運ばれていましたが
これからは押し車を押しご近所まで自力で行けます。
視界をさえぎっていたものが消え
なんてせいせいしたことでしょう!

広々と明るい空!

待ちわびた春の到来です。




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# by kotoko_s | 2018-03-17 22:14 | 作る | Comments(10)

行く場所・帰る場所

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久しぶりに実家へ行ってきた。
数日留守にしただけだが、ずいぶん長く離れていたような気がする。
新幹線2本、在来線を2本、3回乗り換えて
最寄の駅からは予約しておいたデマンドバスで家路につく。
会津に入ったとたん、列車の窓から青空が消え
空も大地も境目のない雪景色に変わる。
ああ、帰ってきた、と思う。

私の地域は数年前にタクシーがなくなった。
乗車する人の減っていく路線バスを整理して
デマンドバスが地域をこまめに巡っている。

実家も相当な山の上にある。
父と母が住み始めた30年ほど前に較べると
人口はずいぶん増えたのに生活は奥会津より不便なのだ。
市街地に下りればデパートも大きな映画館も病院もあるのだが
昔、別荘地だった両親の住む地域はいまだ生活圏と見做されていないのか、
バス停もゴミの集積所も、歩いていける距離にはない。
いつも支えてくださるご近所の方々がいなかったら
何もかも不自由になった両親は彼の地にはいられない。
二人だけの生活がいつまで続けられるか心配は尽きないが
今はこうしてできる限り行くこと、毎日電話で話すことが私にできること。



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実家にあった雑誌『婦人之友』で
羽仁もと子の言葉を読んだ。

「自由の翼をのべて」

行き詰まった世界を、果しない天が掩(おお)っている。凍る大地を、かえって親しげに日光が見舞ってくれる。新しい年が贈られて来る。行き詰まっているものは、天を仰いで慰めを得よう。凍る大地のみを眺めずに、暖かい日を見よう。

きのうのままである事実を以て、われわれの持つ事実の全部だときめているのは、地を見て天を見ないのです。すべての粉飾をすてて赤裸々な冬の大地のような気持になって、天の光を慕いましょう。

さびしい枝に春が返り、冷たい土が暖められて、いろいろな芽を出すように、沈滞の中に死んでしまったような姿の中に、復活の力が脈々として動いているのは我々の生命です。きのうのままに見えているさまざまの事情も、祈って待つものには、たしかにそれが希望に向って動いています。

(『自由・協力・愛』1934、抜粋)


羽仁もと子は1873年、青森県八戸生まれ。
日本で最初の女性新聞記者であり、のちに『婦人之友』を創刊、自由学園を創立した。
彼女の言葉は、雪深い東北の生まれであることと無関係ではないだろう。

「行き詰まっているものは、天を仰いで慰めを得よう。凍る大地のみを眺めずに、暖かい日を見よう。」

ほんとうにそうだ。


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帰りの列車に揺られながらいろいろな思いが湧いてくる。
車窓をすっぽり覆う雪は、もう馴染んだ風景なのだ。
20年暮らしたこの土地が、私の「帰る場所」になっていることを
今更ながらあらためて思う。
この地の冬が年々辛くなっているので
やがては親の近くへ行きたい、と考えたこともあったけれど。

この地に来なかったら
きっと私はすべて知らないままだった。
暗い雪の日々、閉塞感にこんなに息苦しくなることも
春を待ちわびるちいさな明かりのような気持を頼りにすることも
大雪のあとの青空の、泣きたくなるような美しさも。



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今、ここになすべきことや守りたい人がいて
遠くにもまた大切なものがある、それは幸せなことだろう。

凍りついた大地を知ってよかったと思う。
曇天の向こうにはいつも光が待っていることを教えてもらって。




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# by kotoko_s | 2018-02-09 17:17 | ある日 | Comments(12)

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晴れた!


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トーチャンが玄関前から
台所の窓まで覆っていた雪を飛ばしてくれる。
屋根には雪がまだ残っているので
私は見張り番をしながら
バアのソリの道をゆるやかなスロープにする。
汗びっしょり。


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遠くの屋根に人がいる。
1階の屋根の雪を下ろしているのだ。
今朝はムラ中、「雪かたし」。
あちこちから除雪機の音が響く。


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お隣さんまでカンジキで踏みながら道を作っている。
冬はおちおち留守にできない。
自分の家だけでなく、ほかの人に迷惑をかけるからだ。


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予報では曇りのち雪だった。
思いがけない青空に嬉しくてたまらない。
光はまだごくやわらかく頼りなげだが
ありがたくていつまでも浴びていたい。
久しぶりのお天道様。
ありがとう。



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# by kotoko_s | 2018-01-28 10:07 | ある日 | Comments(12)

奥会津に暮らす


by haru
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