「冬の薔薇」

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東京方面の大雪が過ぎたら、今度は日本海側で降りだした。
ここしばらく降らなくて大助かりだったが
昨日から降り止まず昼前までで70センチ余りの積雪。
もちろん、すでに60センチは積もった上である。
東京の大混乱をテレビで見ながら、バアが
「いいわい、まんべんなく降るのは」と言うのもお許し願いたい。



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廊下のガラスは、上のほうだけ雪囲いをしていない。
そこから覗く外の世界。
暗い。


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「イヤだなあ。やめるかなあ」とさんざん悩んだ末に
「やっぱり友だち来てっかもしんねぇから」
とデイサービスに出かけていった義母。
ソリに乗っけて、トーチャンが表に停まっている車まで引っ張っていった。
バアも、家にいてもつまらないんだよね。

私も出かける予定があったが、この雪では無理は禁物。
私にとって1月は一年で一番長い月だ。
雪と寒さと曇天の、重く暗い毎日がずしっとのしかかって
どうにも気が塞いでしまう。
でも、どうにもならないことを恨んでも始まらない。
なんとか元気を出そう。
何かいいものはないか、と本棚を眺めてみる。


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小林凜君の俳句。「冬」の頁を開く。

肩並べ冬のアイスに匙ふたつ(10歳)

夕日射し冬の一日を回収す(11歳)

オペ受けて麻酔切れたり冬の空(10歳) 

生き延びろ目白の尾羽雪まとう(11歳) 

 (『ランドセル俳人の五・七・五』、ブックマン社、2013)


残されて一人たたずむ雪だるま(11歳)

冬の蜘蛛助けていつか銀の糸(9歳)

休学中冬野に二人と一匹が(9歳)

冬の薔薇立ち向かうこと恐れずに(12歳) 

 (『冬の薔薇立ち向かうこと恐れずに』、ブックマン社、2014)


『ランドセル俳人の五・七・五』の最初に、凜君の言葉がある。

 この日本には、いじめられている人がたくさんいる。
 僕もその中の一人だ。いじめは一年生から始まった。
 からかわれ、殴られ、蹴られ、時には「消えろ、クズ!」とののしられた。それが小五まで続いた。僕は生まれる時、小さく生まれた。「ふつうの赤ちゃんの半分もなかったんだよ、一キロもなかったんだよ」、とお母さんは思い出すように言う。
 だから、いじめっ子の絶好の標的になった。危険ないじめを受けるたびに、不登校になってしまった。そんな時、毎日のように野山に出て、俳句を作った。
「冬蜘蛛が糸にからまる受難かな」
 これは、僕が八歳の時の句だ。
「紅葉で神が染めたる天地かな」
 この句は、僕のお気に入りだ。
 僕は、学校に行きたいけれど行けない状況の中で、家にいて安らぎの時間を過ごす間に、たくさんの俳句を詠んだ。僕を支えてくれたのは、俳句だった。不登校は無駄ではなかったのだ。いじめから自分を遠ざけた時期にできた句は、三百句を超えている。
 今、僕は、俳句があるから、いじめと闘えている。



凜君の俳句を読んでいるうちに、ふうっと胸が広がるような気持ちになった。
いい歳をして、ダダをこねている自分が恥ずかしくなってきた。
トーチャンは鼻歌まじり、除雪機で雪を飛ばしてくれている。

重かった腰を上げて、白菜を漬ける。
立春まであとひといき。
雪のない大都会からやってきてまもなく24年。
とにもかくにもなんとかやってきたじゃないか。

こころの中に育てたい、真冬に凜と咲く、私の薔薇。



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Commented by fusk-en25 at 2018-01-24 16:21
ハルさんの中には「すでに」育っているよ。

心の闇を「あかり」に変えること。。
人間は知らず知らずの間にも。。やってたんだな。。きっと。
そう言う人間はまたどんな場に置かれても。。。。(です)
Commented by kotoko_s at 2018-01-25 07:27
☆fuskさん
育っているのかしら・・・だとしたらいいのですけれど。
たとえば『夜と霧』のフランクルが、極限の状況の中でも希望を持ち続けたことに驚嘆するのです。

>心の闇を「あかり」に変えること

そうしなければきっと生き続けてゆくことは困難なのでしょうね。
日々の生活の中にも、時に闇に引っ張られるような苦しみが訪れることがありますが、それを「あかり」に変える力が、本来は誰にも備わっているのかもしれない、と思います。
光のほうへ素直になりたいなあと願います。
Commented by saheizi-inokori at 2018-01-25 10:24
そうだとも、美しく咲いていますよ。
Commented by jarippe at 2018-01-25 11:54
お義母さまの 「いいわい まんべんなく降るのは」ってなんかわかるな~

真冬に凛と咲いています kotokoさんの薔薇
素敵です
Commented by kotoko_s at 2018-01-25 13:55
☆佐平次さん
まあ、そうですか。美しくなくとも咲けたらいいなあ^^
この小林凜君の俳句は、以前、佐平次さんのところで知りました。
励まされます。
Commented by kotoko_s at 2018-01-25 14:03
☆jarippeさん
ね、わかりますよねえ^^
慣れない、まして人の多い大都会ですから混乱するのも仕方ないとは思うのですが。
東京でもこのごろは数年おきに「大雪」になるのですから、せめて普通タイヤで出かけるのはもうよそうよ、って^^

私の薔薇、咲いてますかねえ。
そうおっしゃっていただくと、胸を張っていこうと思えます。
Commented by chene-eichel at 2018-01-25 17:01
ハルさんは、周りのクセの強いもの、どうにもならないこと、それを受け止め応え、例えば柔らかな陽射しに変えられる不思議な魅力の持ち主だと思います。
多分、そんなことご自身は感じておられてないでしょう?
感じてしまったらしんどいもの。

東京の大雪警報を知って何事かと思えば、10cmで???ってなりました。
私にとっては大雪狂想曲。
情報はつくづく中央のためにあるのだと、斜めからひねくれて見ました。

ニワトリ小屋を開ける8h15前後、一瞬で明るさが大きく変化する。
こんな小さな生きる歓び、自然の中ならでは。
Commented by kotoko_s at 2018-01-25 21:23
☆chene-eichelさん
自分のことって案外、全然わかってないのかも。
そんなふうにおっしゃってくださると、ええ、そうなんですかって。
恥ずかしいやら嬉しいやら^^

東京の「大雪!」「48年ぶりの寒波!」、テレビでは一日中そればっかりなので、日本は東京でできてるわけじゃないよね、と思わずトーチャンと顔を見合わせてしまいました。
その東京に、明日、所用で出かけます。まずはこちらの在来線が動くかどうかが問題ですが^^

ニワトリたちも元気だろうなあ。
澄んだ朝の空気、一日のはじまりの光、自然は厳しいですけれど、そこで暮らすものにしかわからない恵みを授けてくれますね。
Commented by PochiPochi-2-s at 2018-01-26 11:52
haruさんの絵日記日和から

〉昨日から降りしきり
大雪になる

トーチャンが一日中
除雪してくれた

トーチャンは言うまでもなく「冬の薔薇」。
強いだけでなく優しい。
バアもそうだと思う。
その側で暮らすハルさんもきっと同じような「冬の薔薇」
に育ちつつあるのだろうなぁと思っています。
Commented by kotoko_s at 2018-01-26 13:16
☆PochiPochiさん
そうですね、夫も義母もまさしく「冬の薔薇」ですね。
私も見習いたいです。

今日はさらに大雪となりました。
その中で家族そろって元気でいられることに感謝しています。
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by kotoko_s | 2018-01-24 15:22 | 読む | Comments(10)

奥会津に暮らす


by haru
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