根っこ

c0323384_09554310.jpg


頬がひやっとして寒い朝。
こんな日はきれいに晴れる。
バアの指令のもと、トーチャンと来年のレタスの苗を植えた。
ゴム長の足の裏が冷たい。
2列で88本。こんなにどうするんでしょう。


c0323384_09585538.jpg


終って、バアはとっておいた苗を親戚に届けに行った。
トーチャンに花壇を耕してもらい、私はチューリップの球根を植える。
今年は半分も咲かなかった。
モグラが掘ったトンネルをネズミが通りながら球根を食べたらしい。
来年はネズミが球根を嫌いになってくれますように。

落ち葉を掃いたり、古い鉢植を整理したりしていると
だんだん背中が暖かくなってくる。
秋の日差しのなんてやわらかなことだろう。


c0323384_10103800.jpg



彼女がこの世にいるかぎり(もう九十歳に近いはずだ)、私はまだヨーロッパに自分の根(ルーツ)をもっている気がする。根、それも主根を。手元の辞書によれば、主根とは「植物の主要な根。通常、側根よりも頑強で、茎からまっすぐ下に伸びる」とある。この根は幼年期の根であると同時に、幼児期の言語の根であり、幼児期に暮らした土地の根でもあると思う。そして私にとっての根はベルギーであり、ポーリーンなのだ。(『70歳の日記』メイ・サートン、みすず書房、2016)


ポーリーンとは、「もう90歳近いはず」と書かれている大切な友人のこと。
メイ・サートンはアメリカ人だが、ベルギーに生まれ、4歳のときに両親とアメリカへ亡命したのだ。


c0323384_10013596.jpg


どんなに長くこの地で暮らしても、私の根(ルーツ)は別にある。
普段そんなことを意識して生活しているわけではないが
時折、「ここではない、どこか」へ行きたくなり
「ここにはない、なにか」が欲しくなる。
それは多分、いいも悪いもない、それが私というものなのだろうから。

でも、もしここに来ることがなかったとしたら。
ずっと住み慣れた都会にいたとしたら。
私の中に太く頑丈な根っこはついに育たず
網の目のように混乱した細い根ばかりで
いつ倒れてもおかしくはなかったろう。

私の遠くにあるはずの「主根」は。
ここで育てられてきたんだろうと思う。



[PR]
Commented by pallet-sorairo at 2017-11-06 14:08
ああ、いいなぁ。
kotokoさんの暮らす場所。
大きく大きく深呼吸して
見とれてしまった。
Commented by fusk-en25 at 2017-11-06 17:47
ああ、素晴らしい大根。
私は間引き菜のようなちっこい大根を先週マルシェで買って。。
うふふ。奥会津のビール漬けを作りました。。
私風レシピに。ちょっと干してほんの少し砂糖を少なく。
そして。。
残りのビールも勿論お相伴(この為にビール漬けにしたのかも。。笑)

レタスは「ぬた」にもできます。
ヴェトナムなら生春巻きに使うだろうな。。
Commented by kotoko_s at 2017-11-06 21:15
☆そらいろさん
いただいたコメントをトーチャンに伝えたら感激しておりました。
ありがとうございます♪
Commented by kotoko_s at 2017-11-06 21:42
☆fuskさん
きれいな大根でしょう^^
でも今日、一本抜いてみたら、半分は真ん中に穴が開いていてがっかりでした。
天候の具合やらなにやらで、どんなに丹精しても思い通りにいかないのが自然界ですね。

もうビール漬けを作られたのですね。
こちらは今月中ごろ、収穫を全部終えてからです。
fuskさんのレシピを逆輸入したいなあ^^
レタスはぬたになるんですか!?
我が家の新鮮で柔らかなシャキシャキレタス、お送りしたい!
Commented by saheizi-inokori at 2017-11-06 21:51
根無し草であることを痛感しつつ人生を終わろうとしています。
羨んでもしょうがないなあ。
Commented at 2017-11-07 02:29 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by kotoko_s at 2017-11-07 04:46
☆佐平次さん
うちのトーチャンのようにこの土地で生れ育ち、やがてはここに眠るだろうという人と話していると、ああ私にはこういう「ふるさと」ってないなあと思います。
土地のもつ力ってすごいですね。嫁いできた義母も、この場所で土を耕し、自分の根っこをつくった人なんだなと眩しく感じることがあります。
私も根無し草ですよ^^
Commented by kotoko_s at 2017-11-07 04:53
☆鍵コメさん
こんにちは。
海外で故国の味を再現している方のお話を聞くのは楽しいですね。
わが家では沢庵は漬けないのですが、ビールと砂糖、からしなどで漬けるビール漬けはひと冬に何回も漬けます。
白菜も収穫後まもなく漬けますが、今年の白菜は虫にやられてあまり期待できません。
パッチワーク、多少ずれても大丈夫ですから、楽しんでくださいね♪
Commented by jarippe at 2017-11-07 09:40
遠くにある主根 ってわかる気がします
私も今此処にいる自分を本当の自分?って思うことがあります
そんな時私の場合は この年まで此処で一生懸命生きてきた自分を捨ててまで生きてきたことに
情けなく思ったり誇らしく思ったりうろうろします
きっと私はちょっとずれた気持ちのこの地の人なのでしょうね

レタスも冬越しするんですねー びっくりしました
こちらはいま玉ねぎを植えています これから実家へその手伝いに行きます

Commented by PochiPochi-2-s at 2017-11-07 12:42
昨夜から考えてました。
「根っこ。私のは何処?」
多分、故郷。
haruさんと反対で、田舎からいちおう都会(?)と呼ばれる場所へ。
都会での生活時間は田舎での時間より2倍以上になったけれど、
でも、今だに都会育ちの人たちの考え方に馴染めない自分がいます。
かといって故郷で生活するのもなぁ〜と。
田舎の生活はいいなぁと思う反面、わかりすぎているから帰れない
というところもあります。
結局は、
自分の考え方の基準は小さい頃の故郷の基準、なるようにしかなら
ないさ、人間そうそう変わるものではないと開きなおって生活している
のかなと。
Commented by kotoko_s at 2017-11-07 14:23
☆jarippeさん
「情けなく思ったり誇らしく思ったりうろうろします
きっと私はちょっとずれた気持ちのこの地の人なのでしょうね」

jarippeさんもほかの土地からいらしたのですね。
私も似ているかもしれません、この感覚。
なにか答えや結論がほしいわけではないのですが、時々、ここにいることが不思議な気持ちになります。

そちらではレタスの苗を今頃植えませんか。
ご実家で畑をなさっておられるのですね。
もう立冬、収穫や冬支度に気忙しい時期ですね。
Commented by kotoko_s at 2017-11-07 14:38
☆PochiPochiさん
私の「主根」はやはり東京なんだと思います。
それは、そこで生まれ長い時間を過ごしたからというよりも、多分、両親も東京の人だったことが大きく影響しているからではないかなと思います。
人との距離感や気性のようなもの、うまく言えませんがなにかがこの地の人と違うなと感じるんですよ。
だからといってここでうまくやれないなどということはなくて、むしろ私は都会を離れてほっとしました。
幼い頃や若く多感な時期に過ごした場所は宝ものです。
それはそれとして、ここにもまた、かつての場所では得られなかったかけがえのない宝が見つかりました♪
Commented by noburinng at 2017-11-22 16:24
自分がマイノリティーとして暮らしていた頃、わたくしも同じようなことを感じ、
帰国後は離れていた間に、自分の中で何かが変わったのも実感しました。
自分のアイデンティティーを再認識したというか、そういう機会を
遠い国でもらった感じです。本当にそれは良し悪しではなくて、ただ単に
そういう事実を確認した、という感じでした。
遠いところへ出かけて行って、違う土の中に入ってみて、
今まで意識さえしなかった根の張り方や、栄養の取り方を再認識した感じです。
人生って、面白いですね。
Commented by kotoko_s at 2017-11-23 10:54
☆noburinngさん
海外で暮らしておられる方々はなおのことですね、きっと。
私はなんといっても母国語の通じる場所にいるのですから、多少の違和感や自分とはなんぞやという問いも、その範疇で生じているに過ぎません。
馴染んだ場所への懐かしさを時に感じることはあっても、そこに固執するほどの愛着はないかもしれないな、とこの頃よく思います。
ここで出会った様々な驚き、感動、人とのつながりの深さが増すつれ、この土地への親しみも深まってきたように思います。
ほんと、人生って面白いですね。まだまだ面白くなるような気もしています。
名前
URL
削除用パスワード
by kotoko_s | 2017-11-06 11:13 | ある日 | Comments(14)

奥会津に暮らす


by haru
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31