機械的

一日出かけて帰ると、ポストに「郵便物等お預かりのお知らせ」が入っていた。
赤い帯に白抜きの太い文字で「再配達受付連絡先」とある。
が、その連絡先っていうのが「24時間自動受付電話」しかない。

『ジドウオンセイニシタガッテプッシュボタンヲオシテクダサイ』
うう、これがヤなんだよね。以下、こんな具合。
『ハジメニシャープヲオシテクダサイ』
『オキャクサマノユウビンバンゴウヲオシテクダサイ』
『カクニンシマス』『ヨロシケレバシャープヲオシテクダサイ』
『ツイセキバンゴウヲオシテクダサイ』
『ゴキボウノハイタツビヲ4ケタデオシテクダサイ』『5ガツ10ニチナラ0510』
『ハイタツジカンニガイトウスルバンゴウヲオシテクダサイ』
『カクニンシマス』『ヨロシケレバサイゴニシャープヲオシテクダサイありが……
ブチッ!(当然ですが私が切った)

ほんとうに、この「自動音声」というヤツが大嫌い。

「もしもし、○○の○○○ですが。留守しておりまして、お届けくださったのにすみません。ええ、今日はもうおりますが。来週の月曜日では。お手数おかけしますがよろしくお願いします。ありがとうございます」

昔は(いつの頃までだったか)、このような「生(ナマ)の」やりとりで事足りていた。
電話の苦手な私でも必要とあらば普通の会話ができるのだが、ジドウオンセイは質問や合いの手を許さない。
「ナニナニシテクダサイ」とお願いしているようでいて実はこれ、命令である。
うっかり押し間違いでもすれば最初からやり直し。
なんとかついていける世代の私でさえストレスを感じることこのうえない。
こういうことに不慣れなご老人はどうしていらっしゃるのか。
と思って不在票の裏を返すと、記入して投函できるようになっていた。ちょっとほっとする。
しかし。この1枚の紙に盛り込まれた情報量の膨大なことよ。
親切なんだか……どうなんでしょう。


先日久しぶりの映画館に向かう途中、道に迷ってしまった。
映画館の電話番号は控えていたのでかけてみる。
『ジドウオンセイニシタガッテ……』おまえもか!
しかしここで切ったら用が足りぬ。
我慢して聞いていると『ジョウエイサクヒンノゴアンナイハ』それはいいから。
『ジョウエイジカンノゴアンナイハ』いやいや、私はあなたの場所が訊きたいの。
埒が明かないので電話を切る。疲れた。上映時間が迫っている。
今回はあきらめるか。
そこへ運よく若いお嬢さん方が歩いてきた。
すみません、○○シネマってこのへんじゃないでしょうか?
「ああ、それは逆ですよ~戻ってずうっと行くと右側だっけ?」
「うん、信号を右に渡るとすぐですよ、大きいビル」

ありがとうございます、助かりました~!

今来た道を小走りで戻り出したら後ろから「あれ、観た?」「まだ~観たい~」などとお嬢さんたちのかわいらしい声。
生身の人間同士なら通りすがり同士でもなにかが生まれるのだ。

「そちらに行きたいのですが、場所を教えてください。今どこどこにいるのですが」
たったこれだけのことが、もはや電話では訊けない。
そういうところに人を置かない(置けない)事情があるのだろうが、機械が人にとって代わって、便利になったのか?
便利になったのはそれを決めた側の方々ですね、たぶん。

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Commented by hanamomo06 at 2014-05-12 06:53
ほんとに自動受付電話はいやですね。
家族でやっているような小さな運送会社などは奥さんが出てくれたりして、ほっとします。でもこちらは人手がないから、遅くに掛けると『また明日』になってしまいますが。
音声ガイダンスにしたがって・・・・・で私はすでに機械であると知っていながら電話にむかってもんく(言い返し)を言っております。
母がそれを聞いていて笑いながら『年寄りだば、でぎねな~』といいます。
私だって見えづらくなった目であの長い番号を間違えないように打って・・・・・
ちょっと間違えると振り出しに戻る・・・・・あ~あ。
>この1枚の紙に盛り込まれた情報量の膨大なことよ。
本当です、あれはあちら側の考えです。
いろいろな様式を作ればいいのです。
役所の提出書類もそのとおり、毎回私は悪戦苦闘です。
映画館もそうなんですか?

私は道をたずねられることが結構あって、聞かれてわかる場合だとこちらもなんだかうれしいです。
すごく急いでいるとき意外、私は出来るだけ教えてあげたいな~(みんなそうですよね)
人と人なら、通りすがりでも温かいものが生まれますね。
行く先々にこれがなくなったら、おしまいのような気がするのです。
Commented by kotoko_s at 2014-05-12 11:14
☆momoさん
そうそう、今でも小さいところは昔ながらの応対をしてくれてほっとしますよね。
多少の不便は「そんなもんだ」で納得していた時代を思い出します。その頃のほうが、待ったり譲り合ったり時には粘ったり、っていう、人間らしい力が誰にもあったような気がしますね。
今、この郵便物を届けてくれた方に「音声ガイダンス、私は苦手なんですけど、評判いいですか?」ときいてみたら「いやあ、悪いですね~すいません」(笑)

よく道をきかれるのは、親切なひとってわかるからですよ。
コワイ顔してまっしぐらに早足だったりしたら声をかけにくいですものね。
映画館も巨大になると問い合わせだけに人手をかけられないのでしょう。
あきらめかけていたところにかわいらしい女性たちが通りかかってくれて、ほんとに幸運でした。
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by kotoko_s | 2014-05-11 08:56 | ある日 | Comments(2)

奥会津に暮らす


by haru
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