仕事

家族の病院つきそい。朝8時過ぎ、凍った山道をそろそろと下りる。雪が降らないのは何よりありがたい。今冬はとても楽だ。どうかこのまま春まで。お願いします。

午後になると居間の障子が明るんできた。雪囲いをしたガラス戸の向こうから、冬の日がさしている。
数日ぶりに手仕事をする。制作中の古布つなぎで、11枚の布を縫い合わせひとつのピースにする。手が覚えて、短時間で3組できた。今日までで7組。畳に並べてみる。帰ってきた夫が盛大に褒めてくれた。
手仕事はありがたい。手を動かしていれば、必ず形となって現れてくれるから。目に見えるもの、手で触れるものはいい。安心する。

「働いてる人がいるのに寝てもいらんねぇだから。手わっさすんのはいい、仕事のけぇり(代わり)に」と、老人が言った。
これまで何度となく聞いた言葉だ。何度聞いても、ちくっとする。私は黙ってしまう。
「ただ居らんにぃ」というのは、ここで実によく聞く言い方だ。働くことを、ここでは「稼ぐ」といっている。


『それをしていると自分が自分自身でいられる。
それをこそ仕事と呼ぶのではないか』

恩師であり、詩人でもある先生の言葉を思い出す。
私が私らしくいられる、いくつかの仕事。そのどれをとってもあまりにもささやかで、家族はおろか、自分ひとりさえ、食べさせていくことなど到底できないのだけれども。
それは、単に自分を楽しませるだけのものではなく、誰かとつながっている。
私のしているさもないことが、誰かの気持を安心させたり喜ばせたりすることに、たしかにつながっている。それがわかって、ああ、そこに立てばいいのだと安堵する。
人とつながる、誰かの役に立つ。それが自分の喜びや楽しみと一致すると、こころがゆったり広がっていくような感覚になる。手放したのに、満ち足りる。得るものはお金では計れない。

ああ、これだ、と、その感覚を知ることができて幸せに思う。
そして、その時間をもてることを、ありがたいと思う。
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by kotoko_s | 2014-01-17 23:21 | ある日 | Comments(0)

奥会津に暮らす


by haru
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