やすらぐ場所

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草間彌生の展覧会を、彼女が生まれた松本で観ました。
ほとんどの作品が撮影不可でしたが、撮れたものの一部を。
展覧会のタイトルは「ALL ABOUT MY LOVE 私の愛のすべて」


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「これは・・・・・・ここがアタマなんですかね?」
と、学芸員に聞いているオジサン。
「どうぞお好きなように、ご覧ください」
ニコニコしながらこたえている。

真っ暗な中を誘導されて進むと一面光る水玉の海だったり
4人ずつ20秒間だけ滞在できる部屋は鏡張りで
見渡す限りかぼちゃに埋め尽くされていたり
作家が幻覚や幻聴を描き始めたころの油彩画も見られたり
おおいに楽しみました。


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私は草間彌生が好きなのです。
たぶん、作品以上に彼女自身が好きなのです。
89歳になる現在も旺盛な創作意欲が衰えないのは
彼女にとっては当然のことです。
「描かなければ自殺しそうになって大変なのです」と言うのですから。
記念に、かぼちゃがプリントされたTシャツと
彼女がギロリとこちらを見ているポストカードを買いました。



それからここへ。


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小さなクラシックな喫茶店の一角に
冬の手仕事を展示していただいたのです。
いろんな人たちのお世話になりました。ありがとうございました。

会場でダンボール織のワークショップもしました。


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この喫茶店は、心に病や痛みを抱えたひとたちが働いています。
今回のワークショップに参加してくださったのは
ほとんどが家族にそういうひとをもつ人たちでした。

もともと、ダンボールを使った織物を始めたのはこの場所でした。
私もかつてここでお世話になったのです。
ダンボール織は、描いたり作ったりする私のひそかな喜びが
多くの人とわかちあえるものへと変わるきっかけとなりました。
仲間の笑顔を見て、自分にも何かできるかもしれない、と思ったのです。

社会にうまく適応できない、傷つきやすい心の持ち主に
絵を描いたり音楽をしたり、表現世界に没頭する人が多いのはなぜでしょう。
私はここに来ると「帰ってきた」という気がします。

家から出られない娘さんのために
材料一式を持ち帰ったおかあさん。
それだけで、この場所で出来てよかったなあと思います。

よい旅になりました。



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# by kotoko_s | 2018-04-18 09:42 | 観る | Comments(18)

猫がいた喫茶店

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テレビで新入生の初々しい顔を眺めていたら
ふいに昔のことがよみがえった。

30年以上前、私は社会人になってから夜間の専門学校に通っていた。
勤めていた会社は勤務時間が不規則で学校に間に合わないので辞めた。
学校に通い出したら、先生がのんびりと言った。
「あなた、昼間何やってるの」
「なんにも・・・・・・いえ、しないとまずいんですが」
「だったらちょうどいいや。これから行こう」

連れていかれたのは古い喫茶店だった。
「純喫茶M」としておく。
「画廊喫茶M」という文字も看板に見えた。
Mは画家の名前である。
無気味な感じの女の顔が、看板に描かれていた。
あとで知ったが、純喫茶と謳いながら、夕方からはお酒も出した。
三島由紀夫がよく来ていたとか、誰それが常連だったとかいう話も聞いた。
椅子の背には白い布カバーがかかっていて
小さなテーブルに置かれたメニューには
「サイダー・コーラー・クリームソーダー」と書かれていた。
「ガラナ」という飲み物を、そこで初めて知った。

その店で、1年ほどだったろうか、アルバイトをした。
しばらくは注文を聞いたりコーヒーなどを運んだりしていたが
まもなくママさんに
「代わってちょうだい。あたし疲れちゃったのよ、年だから」
と有無を言わさない雰囲気で言われ、カウンターの中に入った。
教えられるままにサンドイッチやスパゲティやパフェを作り
コーヒーを淹れた。
慣れると「ホール」より居心地がいい。
盆にのせてそろそろと運んだマティーニのグラスを
テーブルに着地したとたんに倒して
お客さんの胸に盛大にひっかけてしまったこともあったし。

ママさんはお愛想なんぞ言わない人だったが
その分、褒められると本当なんだとわかって嬉しかった。
ちょっと、姑に似ていなくもない。
暮れにはひと抱えもある業務用の食パンを持たせてくれて
「サンドウィッチをたくさん作ってあげて」と言った。


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その喫茶店に昔、猫がいたという。
白いおとなしい猫で、いつも2階に上がる階段の下にいた。
そこから、入ってくる客、出て行く客を見ていた。
ある日、2階から酔っ払った客がよろよろと降りてきて
寝ていた猫を思い切り踏んづけた。
「どうなったんですか、猫は」
思わず浮かんだ『ねこふんじゃった』に笑いそうになるのをこらえて聞くと
「死んじゃったよ」ママさんは即答した。
「だからその人に言ってやったんだ、二度と来ないでくれ、って」
ママさんは思い出すのも嫌そうに、眉間にしわを寄せた。
いい猫だったのに。

飲食店に動物がいる、というのはよくあることだろうか。
そういえば、猫のいる蕎麦屋を知っている。
注文して待っていたら厨房からトラ猫が出てきてギョッとしたものだ。
あれも、蕎麦屋の主人にとってはいい猫だったにちがいないが。


あの喫茶店、今もまだあるだろうかと
インターネットで検索してみたらぞろぞろと出てきて感激した。
まだ、あった。
看板も変わっていない。改装したというが昔の面影を残している。
メニューは当時より豪華になったようだ。

東京が遠くなって久しいが、今度行くときには。
あの御茶ノ水駅界隈、同級生とたびたび入ったピザ屋。
1本ずつ買った絵の具、憧れの筆の並んだ画材屋。古本屋。
坂道をずうっと下って先生にご馳走になった中華料理店。
可愛がってくれた先生は亡くなり、学校ももうあの場所にはないけれど。
学生街のあの雰囲気は変わっていないだろうか。

そしてあの純喫茶Mに行くのだ。
スパゲティセットを注文して、ゆっくりコーヒーをすする。
ママさんのいるうちに、どうして行こうと思わなかったのだろう。
その節は本当にお世話になりました。
このとおり、やっぱり、なにものにもなれませんでしたが。
「好きだと続くものだよ。それでいい」
ママさんに言われた通り、今も毎日、絵を描いています。



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# by kotoko_s | 2018-04-05 10:32 | ある日 | Comments(18)

記録

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朝晩はストーブ、こたつが欠かせませんが
日中は上着を脱いでいられるほど暖かくなりました。
何より、明るくなってうれしい。
今の風景を記録しておきます。


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庭の桜。
蕾の先にまだ花の色は見えません。


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家の脇の雪山。
一気に強くなった日差しと
せっせと「雪消し」してくれるトウチャンのおかげで
ずいぶん減りました。

この道が開通するのは毎年4月中ごろ。





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会津木綿のはぎれで作りました。
18センチ×88センチ、テーブルランナーには短いですが。

色の組み合わせを考えるのが楽しいのです。
ミシンが苦手なのと
バアの隣にいながらできるので
ちくちく手縫いがいいのです。


学校時代は、お裁縫が苦手でした。
習った通りにやりたくても、手がいうことをきいてくれないのです。
なにより、言われたことが一度や二度では到底わからない自分に
私は、おおげさでなく絶望していました。
これはお裁縫に限りませんでしたが。

でも、ものを作ることはとても好きでした。
その「好き」が今も続いているのだろうと思います。

この不器用な作品も
来月の展示のお供につけることにします。



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# by kotoko_s | 2018-03-30 11:08 | 作る | Comments(10)

雪解け

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「雪」   高田敏子

樹の根元のまわりから
雪はとけてゆく
樹の肌にそって まるく
くぼみを作ってゆく
その静かな環(わ)のかたちを見るのが
好きだ

雪はうっとりと
とけてゆくのだろう
とけて雪は
地の中にしみ入り
樹の根に吸いあげられて
樹液に変わるのだ

枝々の先に いっせいに
噴き出す芽!

うっとりと とけてゆく
雪の心が
あの環のくぼみから
伝わってくる






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晴れ渡った午後、散歩に出る。

風はまだ冷たいけれど。
壁のように辺りを取り囲んでいた雪はぐんと沈んで
広々と景色が開けていく、ああ、いいなあ!

雪解け水の轟き。
遠くの森から絶え間なく響く
キツツキのコツコツコツコツ……

日差しにぬくもった道端には
後ずさりする雪の縁から
明るい緑色がいくつも覗いている。
今晩の天ぷらの分をいただいて
浅い春の楽しみです。




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# by kotoko_s | 2018-03-25 16:26 | ある日 | Comments(8)

100円

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来月、久しぶりにダンボール織機を使ったワークショップをする。
1時間半程度で、コースターを1枚か2枚作る。
道具や材料を準備して、
サンプルも手持ちのものに少し足しておくことにした。
本当は裂き織をしたいのだが
当日布を裂くところから始める時間はないし
たくさん用意していくのは大変なので、一部は市販の糸を使うことにした。

手芸店と、100円ショップに行く。
100円ショップには意外と面白い素材のものがあって
以前、小学生と一緒にやったときは、カラフルな糸が大人気だった。
安価だからちょっと試してみるのにも都合がいい。

しかし。
指をさすりながら黙々と作り貯めてきたジーンズのテープもカットソーの紐も
100円均一で並んでいるというのがなんとも複雑な気分なのである。
そして今日はついに(というほどのものでもないが)
「かんたん手織りルーム」なるものを見つけてしまった。

スーパーからダンボール箱をせっせと運んで切ったり貼ったりしている間に
同じ仕組みのもっと丈夫できれいなものが
しかも必要な小道具まで付いて100円である。

こういうものは、私が子どもの頃にもすでにあった。
でも、さすがに100円では買えなかったと思う。
なんだかなあ、という気分のまま、1枚買った。
今後はダンボールを切ることもないな。
小さなものならこれで十分楽しめるものね。

なんか、つまらん。


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サンプルは自作のダンボールで織る。

ダンボールと、割箸があれば。


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これはダンボールの両面を使って袋状に織っているところ。

いまのところ、こういうものが織れる100円織機は、まだ出ていないからね115.png

それにしても100円ショップ。ないものはない、というぐらいの品揃え。
どうやったらあれもこれも100円で売れるんだろう。なんだか、怖い。




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# by kotoko_s | 2018-03-22 22:46 | 作る | Comments(11)

奥会津に暮らす


by haru
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