2017年 06月 14日 ( 1 )

たいしたことではない

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先日、インターネットで古本を何冊か注文したら、一冊が汚れていた。
「表紙に少しシミあり」という説明も承知の上だったが
これを「少し」といいますか、と言いたくなるような濃いシミ。
イヤな気持ちになりすぐさまきれいな包み紙でカバーしてしまった。
中を開くと数ページ目に、ルビが書き込まれている。しかも赤いボールペンで。
そういえば、書き込みナシ、とは書いてなかったなあと後悔したが仕方ない。
せめて鉛筆にしてほしかったが、それよりも吃驚したのはそのルビが間違っていたことだ。

「詠って」というところに「よむ」とふってある。
「って」はどうするの。
「うた」だよ、きっと、この場合は。
「よむって」と読んだのかなあ、まさかなあ。
辞書で調べて「よむ」と読むんだね、と知ってメモしたのか。
ぶっきらぼうな赤いボールペンのひらがなが
この本の最初の読者を想像させてちょっと可笑しくなった。

私だってたまたまこの字を知っていたというだけで
ほかの何万という言葉を知らずに平気な顔して生きているのだ。
表に出ない分、恥をかく機会がないというだけである。
あ、ここでやっているかもしれないですね。



午後の朴の木。田中一村の絵を思い出した。
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雑誌の編集をしている友人が、取材した人物の名前を間違えたまま載せてしまった。
人名というのは校正でも特に緊張する部分ではなかろうか。
それでもこういうことはあるのだ。
友人は真っ青になってすぐさま電話をかけ平謝りに謝った。
すると相手はこともなげに言ったそうだ。
「私はそういうことはまるで気にならないんですよ。だからあなたも気にしないで大丈夫」

申し訳なくて恥ずかしくてありがたくて、と友人は涙ぐんで言った。
似たようなことを経験しているから、その気持ちはよくわかる。
それなのに、自分の至らなさを忘れて私は結構、他人に厳しい。
相手の勘違いをいつまでも覚えていたり。いやらしいよなあ、と恥ずかしくなった。
たいていの間違いはたいしたことではないのだ。

名前を間違えられても「まるで気にならないんですよ」とさらりと言って
恐縮している相手を救う。
そんなおおらかな心持ちに私もなりたい、と思ったことでした。




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by kotoko_s | 2017-06-14 16:29 | ある日 | Trackback | Comments(10)

 あれこれ


by haru
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