自在の心

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桜の幹にからみついたコクワ(サルナシ)が風に揺れる



このところ病院づいていて少々気落ちしている。
胆のう手術のあとは大腸内視鏡検査、それも大事に至らずよかったのだが
しばらくは静かに生活するようにとのこと、予定していたことができなくなってしまった。
本当は今週、帰省するつもりだった。
こんなことなら検査なんて後回しにすればよかったと後悔したが、仕方ない。
自分も両親もこうして無事であることに感謝しよう。


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5年前、義母が木蓮の根元に植えた野ブドウ 初めて実をつけた



しばらく手にとることのなかった『暮しの手帖』だが、最近はたまに買う。
ふと、手近にあった6-7月号の「家庭学校」を何気なく読んで、思わず笑ってしまった。


「私は、霊峰富士を背にした富士市のケアハウスに暮らしています。気持ちは乙女ですが、85歳。老人です。今あるのは、たっぷりの時間と夢だけですが、夢は自由自在です。テレビで見たおいしい料理を食べ、旅することだってできます。」

「2年前に倒れて以来、最近のことは忘れてしまいますので、すぐに書き留めておくようにしています。足腰が立たず、一日中車椅子に乗る生活ですが、手と口、耳は健在ですので、スタッフさんを笑わせたり、時々困らせたりもしています。年寄りの集まりには小さな諍いもあって、私もちょっと憎まれ口をきいたりします。反省しています。」


うふふ。

退屈しのぎに始めた「言葉遊び」について

気がつくと平仮名の羅列になっているので、小学生用の漢字辞典を枕元に置いています。漢字は、漢字ノートに5Bの鉛筆で書いて練習しているのですが、書くのは大変疲れますので、やはり気負わずに時々。恥ずかしながら駄作を少々。」

「湧いて出ることばの泉おおいいぞ早く書き留めねばすぐ消える急げ」
「昔話聞くも語るも楽しげに嘘か真か刻は流れる」
「呆け女房似た者亭主の世話を焼き」
「生きてきた時が今の顔にでる悔いても遅いが気づくだけまし」

あはは。

「今朝は、車椅子を押してくれたスタッフさんが『今日の富士山は綺麗よ』と、廊下を遠回りして見せてくれました。キラキラと美しかったこと。周りの方に優しく支えられて、日々、皆さんに自然に『ありがとう』と言える私は、幸せです。」


巧まざるユーモアに笑いながら、85歳のこの女性(N.Mさん)に感服した。
この投稿文のタイトルは「自在の心」。
「自在」とは、邪魔するものがなく思うとおりになること、と辞書にはあるが、仏教用語でもあるらしい。
煩悩の束縛から解放されて自由になることが「自在」。
ならば縛っているのは自分自身だったということか。

この女性のように、今ここにあること、あるがままに感謝して生きられる人が
本当に幸せな人というのだろう。
周りの人も嬉しいに違いない。



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こんなに可憐なのにヘクソカズラとは・・・



元気に実家のために力を尽くしている弟妹たちを遠くで眺めながら
なんとなくさびしい、残念な気持だった。
私だってできることをやっているんだぞ、などと
いい年して言ってみたいような気持になったりもした。
自由にならない境遇を今更ながら嘆いてみたり。
だが、きっとすべて必要だから備えられているのだ。
病気も休養も老いた義母との生活も、すべて。
私に最良のことが与えられている。
「自在の心」で生きたいなあと思う。





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Commented by pallet-sorairo at 2017-08-21 16:45
大丈夫、弟さんや妹さん、声に出さずとも
きっとちゃんとわかっていますよ優しいお姉さんのこと。

>病気も休養も老いた義母との生活も、すべて。
>私に最良のことが与えられている。
>「自在の心」で生きたいなあと思う。
私もそんな風に生きたいと思います。

ヘクソカズラ、私の散歩道でもいま盛んに咲いています。
愛らしい花なのに、本当にお気の毒な名前ね(^^ゞ
Commented by saheizi-inokori at 2017-08-21 22:43
新富士日記ですね。
そうですよ、最良。
でもお大事にね。
もう秋の気配でしょう。
Commented by hanamomo08 at 2017-08-21 23:33
自在の心、いい言葉を拝見しとっても嬉しくなりました。
まずはharuちゃんありがとう♪

あの何でも抜いておしまいになるお義母さんが野葡萄を植えたのですか?
これは切れ葉野葡萄ですね。
私は実がつかないうちから葉っぱだけ一輪挿しに入れて楽しみます。
85歳の豊かな発想、本当にすばらしい。
周りの人たちは車椅子の暮らしをする可愛そうな老女と思うかもしれませんが、心の中は果てしない宇宙にも勝る豊かさです。
老いて、こんな風に考えられるとは何てすばらしい、豊かな人生なのでしょう。
出来ることならこんなおばあちゃんになりたいな~。

あれ?誰かに似ているな~
そう私の椿友88歳に似ています。
彼女と一緒にいると年齢差なんて一つも感じません。
この人心が自由なんだな~と思っていたのです。

病院通いが続いて気がもめてしまうharuちゃんの気持ちはよくわかります。
でも、きっと今はこんな風におはからいされているような気がします。
長女って頑張らなくちゃの気持ちが強いんですよね。

我が家にベッドの上で『何にもしないで、どうしよう・・・・』と気を揉んでいる85歳(長女)がおります。
毎日毎日『お茶わんも洗わないでごめんね、洗濯も畳まないで・・・・』と言います。
『それができたらあなたここにいないでしょう?』と私は残酷な言葉を毎日言い返しています。(笑)我が家の85歳もなかなか笑えます。
さ~て次は私の番でしょうね。
Commented by jarippe at 2017-08-22 07:00
自在の心 いいですね 心は自由自在ですね 本当に
今ある環境の中で夢をみて朗らかにって素敵なことですねー
お身体 無理されませんように 
出来ないと思うと急にあれもこれもと気になりますよね
今はご兄弟がそれぞれ健康でいること それが一番大事~ですね
Commented by kotoko_s at 2017-08-22 13:53
☆そらいろさん
ありがとうございます。きょうだいも大人になれば上も下もないのですが、私は両親の一番弟子、みたいな気負いがいまだにあるんだなと苦笑してしまいます。
人と比べないで、自分にできることをすればいいのですよね。
この85歳の方のように生きられたらいいなあと思いました。

ヘクソカズラ、私はそんなに臭いと思ったことないのですが。
なんとも気の毒な名前ですよねえ、ほんとに可愛い花なのに(^^;
Commented by kotoko_s at 2017-08-22 15:32
☆佐平次さん
この方の文章、とてもいいなあと思いました。
少々落ち込んでいたのですが、くすっと笑ってしまって。

これが最良なんだな、って思ったら、肩の力が抜けるような気がします。
ありがとうございます、大事にしますね。
もう空気が秋の気配。早いものですね。
Commented by kotoko_s at 2017-08-22 15:33
☆momoさん
こちらこそお読みくださってありがとうございます。
自由自在って、いい言葉だったんだなあと思いました。

>心の中は果てしない宇宙にも勝る豊かさ

本当にそうですね、こんなふうに歳を重ねていけたら、どんなに人生は豊かに幸福になることだろうと思います。
きっと若い頃からそういうふうに生きてこられたんだろうなと思います。

「椿の友」さんも「自在の心」をもった方なのでしょうね。
いつも、いいおつきあいだなあと思いながら拝読していました。
きっと、momoさんも自在な方だからだと思いますよ。

野ブドウ、そうなのです、なんでも抜いてしまう義母が植えたのです。
実をとって焼酎に漬けると万能薬になる、役に立つ植物だからですね。
それまでは山で採っていたのですが、庭にあったら便利だと思ったようです。
これは切れ葉野葡萄というのですか。葉の姿、美しいですね。
色づいてきれいな実は、生けるとまもなくしぼんでしまいますよね。

お母様も長女でいらっしゃいますか。
長女気質というのでしょうか、やってもらうことに慣れないんですよね。
だから私もつい、「ごめんね」と言ってしまいそうなところをのみこんで、「ありがとう」と言います。
お母様との会話、いいですねぇ(^^*
Commented by kotoko_s at 2017-08-22 15:33
☆jarippeさん
体が不調なときって、心まで弱ってしまいますね。
今回、この程度のことでもなんとなく気分が落ち込んでしまう自分のひ弱さを改めて知ることができました。
この85歳の女性のように、周りの人たちに感謝しながら、心はのびのびと自由自在でいる生き方、本当に素敵なことだと思いました。

ありがとうございます、一日を無事に過ごせたらよし、としますね。
無理せず、私も弟妹たちに感謝しましょう。
Commented by PochiPochi-2-s at 2017-08-22 18:03
朝から絵を仕上げながら色々考えてました。

まず心に浮かんだのはキョウコ・モリの小説「めぐみ」。
阪神間に住む何不自由ないと思われる豊かな家庭の悲劇を描いています。
外から見れば裕福で幸せそうに見えるが、家庭に入ると家族の心はバラバラ。
どんなにお金があり財産があっても幸せであるとは限らない。
幸せとはお金ではなく、如何に心(精神)が豊かであるかによって変わってくる。
この小説を読みそう思いました。
「内心の自由」この言葉も思いました。
どんなに束縛されようとも心まで束縛されはしない。
赤毛のアンも思い出しました。

私たちはどんなに忙しく、自分だけの自由な時間を取れなくとも、
心だけはいつも自由になれる、自由に物事を考えられる、心に翼をつけて
自由に好きなところに飛んでいける(あくまでも自分の心の中でですが)。
この時間が好きなんです。
まだまだ子供達が小さく、義母の手がかかった頃、いつか行ってみたい
と思い、行きたい場所に関する本や小説を読み漁った時期がありました。
読んでは思い、思っては読む。そのうちに時間ができ実際に行けるように
なった時の嬉しさは何物にも比べようのないものでした。

ハルさんは今はまだまだ若く、自分だけの時間もあまり取れず、
何かと気になることも、束縛されていると感じることも多いと
思いますが、心だけは自由に遊ばせることができると思います。
落ち込んだ時には会津の深い緑の山、木、草を見て、新鮮な空気を
吸って気分転換をしてください。
赤毛のアンの空想力、大好きです。

長くなりましたが、最後にもう一つ。
私も長女です。下に弟2人がいます。主人は長男とは名のばかりの
姉3人いる末っ子です。その彼からいつも言われます。
「しなくてもいいことまで出しゃばって何事も取り仕切りたがる」
他人から見れば、長女とはそんなものらしいです。
もう少し役割分担で弟や妹にしてもらったらいいのではないかと思います。
できる時にすればいい。今はそう思うのですが。

ゆっくり休んで十分回復してからでいいのではないかと思いますよ。



Commented by kotoko_s at 2017-08-22 20:36
☆PochiPochiさん
私は長女といっても仕切るのは苦手で。
むしろ弟妹のほうがそういうことは得意なので感謝しています。
行くことができなくても、毎日電話で母や父と話すことができて幸せに思います。

さびしさ、せつなさ、どうにもならないような、言葉にできないものが心の中に溢れてしまうときが誰にもあると思いますが、今、ちょうどそんなときかもしれません。
おっしゃるように、今は少々不自由に感じることがあっても、心は自由ですものね。
まずは体をいたわって元気になりたいと思います。
ありがとうございます。
Commented by fusk-en25 at 2017-08-23 06:31
自在に変な。。関係のないことを思い出しました。
中学の頃だったか確か「数学自由自在」って参考書あったなあって。
私にとって数学は不自由極まりのないものでしたが。笑。
体調は少しは良くなりましたか?
去年の冬の苛立ちは体調の悪さの前哨戦だったのかな?
Commented by kotoko_s at 2017-08-23 09:59
☆fuskさん
「数学自由自在」ですか?!
それ、いいなあ。
数学が自由自在だったら確実に人生が変わっていたと思います^^
でも、それはそれでまた別のことに悩んだでしょうけれど。

ありがとうございます、順調に回復しています。
言われてみると確かに。
いろいろ苛立っていたのは体調不良のサインだったのかもしれないなあ。
このところ毎日雨で蒸し暑くてたまらないんですが、今日は「処暑」。
季節はちゃんと移ろっていきますね。
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by kotoko_s | 2017-08-21 16:09 | 読む | Comments(12)

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