自分のために


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先日、胆のう摘出手術のために入院した。
胆のう摘出というとなにやら恐ろしげだが
友人にもいるし、何より家族の半数はやっているので
私にとってはさほど特別感がない。手術も腹腔鏡だし。
胆石はあっても症状がなければ経過観察でいいが
私は何度か症状が出ていたので、胆のうごと取ることになった。
昔は石だけ機械で砕いたり薬で溶かしたり、といったこともあったようだが
再発の恐れもあるので最近は胆のうごと取っちゃうのが主流らしい。

腹腔鏡手術は20年近く前に一度体験している。
退院のとき、穿いてきたジーパンのボタンが留められなかったので
(おなかがふくれているし、おへその傷が痛い)
今回はワンピースを用意した。
スリッパは危険なのでかかとのある靴にしてください、というので
旅行用のきれいなブルーの室内履きにしたらこれが軽くて便利だった。
使い捨てにして惜しくない安さだったし。
と、入院に向けての買物もなんとなくわくわくする。
不謹慎かもしれないが、このところ疲れもたまっていたので
いい骨休めになるなあとちょっと楽しみにしていたほどだ。

当初、術後2日ぐらいで退院も可能と聞いて、あわてて
「先生、できることなら1週間は入院させてください」とお願いした。
「帰ったらどうしても動かなくちゃならないので」
女性は皆さん、そうなんですよね、と優しい先生は笑って
ベッドが空いていたらOKですと言ってくださった。
バア、トーチャン、ごめん。

結局、回復状況もみて6日目に退院したが
あんなに休みたかったのに、退院当日は回診前に早々と着替えてしまったくらい、早く外の空気に触れたかった。
体はもちろんだが、なんとなく自分の中身が生まれ変わったような気がして、早くそれを確かめてみたいような不思議な心持ちだったのだ。


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命に関わるような病気ではなく短い期間だったが
今回の入院はとても大きなことを教えてくれた。
入院は(検査入院も含めてだが)今回で6度目である。
考えてみると、自分で思っていたほど私は頑丈ではなかったのだ。
昔からよく「無理しないで」と言われていた。
そう言われても、自分では無理をしている自覚がない。
どこまでが大丈夫で、どこからが無理になるのかがわからない。
けれども、この入院中にああそうだったんだ、と気づくことがあった。

手術の翌日の晩、微熱と頭痛で眠れなかった。
術後は熱が出ると知っていたし、頭痛は前からだし。
だから私は我慢した。
我慢して、でもどうしても我慢できなくなって、ナースコールを押した。
看護師さんに、いつからですか、と聞かれた。我慢しないでくださいね。
痛み止めの薬と冷たい枕をもらって、ようやく眠ることができた。

翌朝すっきりと目覚めて、とても気分がよかった。
体が楽だとこんなに気持ちのいいものなのか。
そういえばいつもなんとなく不調を抱えていたなあと思った。
昨夜、なぜ苦痛を我慢していたんだろう。
苦しいと訴えて助けを求めることを、なぜためらっていたのだろう。
これまでの生き方の癖のようなものがいろいろとよみがえってきて
あのときも、あのときも、と思い当たった。



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自分を後回しにして頑張らなくてはならない時というのが結構ある。
そういうときはまた力も湧いてくるもので、多少の無理もきく。
でも、それが常態化してしまったら
後回しにされた自分はどこで休むのだろう?

あんまり自分のことをちゃんと考えてこなかったんだな。
無理かどうかもわからなくなるほど、身の丈以上に頑張りすぎていたんだな。
私はいったい何が不安だったんだろう。
頑張らないとダメだと自分を駆り立てる不安は、どこからきているんだろう。

そうか、やっぱり、誰かに認められたかったんだな、というところに落ち着くまで、暇にまかせて検証していた。
辿りついたのは、「自分のために生きよう」であった。

自分のために時間を使うことにいつもうしろめたさを感じてきた。
楽しむことに罪悪感があった。
これは私の成育歴とも関係があるだろう。
だから気づいた時点でそんな思い違いは手放していいはずだが、いまだにそれがうまくできないままだったのだ。
「ひとのために」「社会のために」が幼い頃からの母の口癖だったが。
真の意味でそれができるのは、自分自身を大切にできる人である。

入院というのは非常事態で、家族には心配も世話もかけたが
おかげさまで大切なことを学んだ。
何か特別なことができたり人から認められることは嬉しいことではあるけれど
それよりも。
自分の心身をできるだけ安らかに健やかに保ち
素直に心を開いて、人に甘えさせていただくことに感謝できる。
明るい心持ちの人間になりたいものだと心から願ったことでした。


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何かのご参考までに。
実は数年前に胆石があることは知らされていた。
痛くなったら来てくださいと言われていたのをすっかり忘れ。
食べ過ぎたり油モノを摂ったあと必ずもたれや吐き気や痛みがあったのを
市販の胃薬は効かないとか、あの店の油は古いんだとか、とにかく何かのせいにして、決して自分の胆のうのことは考えなかったのである。
胆のう炎の痛みは激烈だといわれるが、それは急性の場合。
私のように痛みに鈍かったり、我慢できないほどではない場合も症状は出ているのです(主にみぞおちから右側、背中なども)。
また頭痛は首の痛みからきているのですが、最近はひどくなっていて。
これを機にパソコンに向かう時間も減らし、生活を変えようと考えています。



いろいろ反省し、心から感謝いたします。
長いものをお読みくださって、ありがとうございました。






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Commented by jarippe at 2017-07-30 16:03
そうだったんですね
怖がり屋の私手術だなんて聞いただけでドキドキしてしまいます
検査さえも大嫌いで困ったものです
スッキリなさったご様子で嬉しいです
自分のためにって 難しいですよねー
私もどれだけ自分をなくさないようにって自分に言い聞かせたことか 
自分の事は後回しにしたり我慢していた方が楽ってこともあったりして
気軽な身になった今やっと自分を通せるようになってきた気がしています
暑さはまだまだ続きます お大事になさってください 
Commented by fusk-en25 at 2017-07-30 16:49
「人の目を気にしない」とか。「なりふり構わず好きなことしかやらない。」とか。
確かに私にはあるのですが。。それもかなり。。笑。
うーん、これ難しいなあ。自分をいたわるって。。
でも見られていると思うと。ホーンの少し頑張って。できちゃうってこともありますね。
ただ絶対に誤魔化せないのは俯瞰して見ている自分自身なんだし。。

「姉ちゃん」でも「末っ子」でもない。一人っ子の私は。。
自分自身と向き合うことしかなくて。。
どうしても独りよがりになりやすい。。こともあるし。。
なんか歯切れの悪いことばっかり書いてますね。。

どっちにしてもハルさんが体も元気になって。。
ついでに気持ちもホーンの少し。。体から解放されて。。よかったな。

Commented by saheizi-inokori at 2017-07-30 22:11
いい学びをしましたね。
亡妻もこれを学んでいてくれたらと残念でしょうがないです。
主婦・母ががんばるとついつい甘えてしまう家族でした。
Commented by kotoko_s at 2017-07-31 10:09
☆jarippeさん
ありがとうございます。
検査も、痛い、苦しいのはイヤですよねぇ^^
できれば病院のお世話にならずにすませたいところですが、今回はしみじみ行ってよかったなと思いました。
いつも重大なことにならずに助けられてきたことに感謝して、これからは自分の体の声をちゃんと聞いてやろうと思います。

>自分の事は後回しにしたり我慢していた方が楽ってこともあったりして

そうなんですよね。私もつい、特に家族の中ではいつもそうだったなあと思います。

これからが暑さ本番ですね。jarippeさんもどうぞご自愛くださいね。
Commented by kotoko_s at 2017-07-31 10:29
☆fuskさん
ありがとうございます。
私は4人きょうだいの長子で、娘ですから特に母の影響を強く受けて育ちました。
小さい頃から自分はお姉さんなんだ、しっかりしなくちゃいけないんだ、と思う子どもでした。母に褒められたかったんですね。
でも、大人になってみればなんのことはない、弟妹たちのほうがはるかにしっかりしていて。
だから今のほうが昔よりずっと楽です。
もっともっと気を楽にして、好きな絵を描いたり手仕事したり、人生をおおらかに楽しみたいなと思います。
楽しんでいる人って、それだけで周りを幸福にすると思うんですよ。

自分をいたわるのはほんとにむずかしいなと思います。
これぐらいなら人に助けを求めず、我慢してしまおう、と自分の内だけで処理してしまうほうが楽だとつい思ってしまって。
いろんな縛りから解放されて(解放して)ぽわ~んと生きられたらいいなあ。
Commented by kotoko_s at 2017-07-31 10:43
☆佐平次さん
ありがとうございます。
ほんとうによい学びのチャンスをいただきました。
私の母が、なんでも自分を後回しにする人で。
後回しどころか、自分を楽しませることなんて思いつかなかったのだと思います。
日本の昔の女性、主婦の多くがそうだったのでしょうね。
考えてみると、母がみんなと一緒に食卓でごはんを食べている姿を思い出せないんですよ。
それは今も続いていて、おかげで父は、生活に関することが何もできない人になってしまいました。
お母さんだって怠けたり遊んだりしていい、って母自らが思って実行してくれたら、と思いますが、今からでは無理ですね。

佐平次さんはお優しいです。奥様もご家族もお幸せですね。
Commented by stanislowski at 2017-07-31 15:50
自分の望み夢を第一に、と生きてきた私は兄にたくさんのことを背負わせてしまったかなと自責の念に駆られます。
わたしも精一杯生きていくだけ。。。
術後、どうぞお大事に。姉さん。
Commented by hanamomo08 at 2017-07-31 20:45
よかった!
数日の入院が教えてくれたこと・・・・・それも本当によかった。
お大事にね。
私たちの年代、これからは自分のこともいたわりながら行きましょう。
Commented by pallet-sorairo at 2017-07-31 21:01
>楽しんでいる人って、それだけで周りを幸福にすると思うんですよ。
昨夜、アップされてすぐに拝見していて
あれこれ書いては消し、消しては書いていたのですが…。
私が書こうと思っていたのはこのことでした。
自分が自然体で生きていることで、周りの人を不幸にすることはないと
最近つくづくそう思うのです。
パソコンから離れても、ときどきはこうしておたより書いてくださいね。
楽しみに待っています。
Commented by PochiPochi-2-s at 2017-08-01 07:02
おはようございます。

私も読ませていただいてからずーっと考えていました。
↑のpalletさんと同じで書いては消し書いては消しで…

我慢せずに自分を大切に生きる。
大事なことですが、難しい。
特に都会と違い、人間関係の濃厚な場所での生活では難しいですね。
大学入学とともに生まれ育った村を出て町に住み始め、
どんなに気分が楽になったことか!
いろんな人に出会いましたが、何よりも自由を感じました。
「大学に入って町に住むようになって、ずいぶん明るい性格になったなぁ」
母の言葉が印象的でした。
いまでもよく覚えています。

いろんなことを考えることができた時間でしたね。
多分神様がくださった贈り物の時間でしょう。
よかったですね。

これからは自分のことも大切に、時々は立ち止まって休みながら、
前を向いていってくださいね。
この歳になって思います。
頑張る必要はないと。











Commented by kotoko_s at 2017-08-01 07:52
☆stanislowskiさん
ありがとうございます。
マメッタイとーちゃんのおかげで、帰宅後ゆっくりさせてもらっています。
ありがたいことですね。
自分が倒れたら家族を守ることもできないんだな、とあらためて思いました。

私にも妹がいますが、彼女が遠くで元気にやっている、とその笑顔を思い浮べるだけで励まされるんですよ。
お兄様も、きっと。
Commented by kotoko_s at 2017-08-01 07:56
☆momoさん
ありがとうございます。
自分が弱い立場になってみると、「していただく」ことのありがたさ、また、それを素直に感謝できることの大切さに気づかされますね。
どうしても自分のことは後回しにしっぱなしになりがちな年代かもしれないですね。
momoさんもどうぞお大切にお過ごしくださいね。
Commented by kotoko_s at 2017-08-01 09:06
☆そらいろさん
ありがとうございます。

>自分が自然体で生きていることで、周りの人を不幸にすることはないと

ほんとうにそう思います。
自然体、ありのまま、このもっとも力みのない姿に、なぜなかなかなれないのだろうと思います。
それが人間というものでしょうけれど^^
よい学びのチャンスをいただきました。
これからはまずは養生第一に、ゆっくり、楽しく生きたいなあと思います。
Commented by kotoko_s at 2017-08-01 09:24
☆PochiPochiさん
ありがとうございます。
PochiPochiさんとは逆で、私は都会から山村に来たのですが、当初は人間関係の距離感の違いに大変戸惑いました。
狭い土地の濃厚な人間関係の中ではなかなか「個」を出すことが難しいということも、こちらに来てわかりました。
でも、時間と共に慣れ(周りも私に慣れてくださって)、また都会では知らなかったことをたくさん教えていただいて、成長させていただいたと思います。

今回のことは本当に、神様がくださった贈り物の時間でした。
>頑張る必要はないと。
胸に沁みました。
Commented by PochiPochi-2-s at 2017-08-01 13:43
今気づきました。ロゴの朝顔、矢絣の朝顔ですね。

今年、ブログ友にタネをいただき蒔いたのですが、
まだ咲いていません。葉っぱだけが大きく生き生き
しているのですがね。
咲くのかしら?
気長に待ってみます。

Commented by kotoko_s at 2017-08-01 14:45
☆PochiPochiさん
今年初めて蒔いた種でしたが、毎朝さわやかな花を咲かせてくれて楽しみです。

でも、毎年こぼれ種からぐんぐん伸びて盛大に咲く紫系の花は、今年はなぜかほとんど姿を見せないんですよ。
Commented by atori10081188 at 2017-08-03 23:29
はじめまして、ナホと申します。
本当に気づきというのは、体験を重ねていろいろと
学ぶ事がどんなに大事か。。。ということを教えられました。
どうもありがとうございました。
Commented by kotoko_s at 2017-08-04 10:26
☆ナホさん
はじめまして、ようこそお越しくださいました。ありがとうございます。
平穏ではないとき、少し苦しいときにこそ、はっとするような気づきを与えられるものだなあと感じました。

素敵な絵、拝見しました。これから楽しみに伺いますね。
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by kotoko_s | 2017-07-30 14:06 | ある日 | Comments(18)

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